【ランディア戦記FESRC】 同名のオリジナルシナリオを、FESRCでリメイクした作品。 筆者は旧作についてはレビューするために触ったくらいなので、その点はご容赦頂きたい。 システム面以外でも、パイロットアイコンを全面的に描き直したり、シナリオ追加があったり、 全面的なリメイク作品となっている。 エムブレムで言えば、FC暗黒竜からSFC紋章1部になった感じだ。 特にアイコンは32*32から64*64にアップグレード。 どのキャラも上手く描き分けられており、味のある出来栄えだ。 オールキンがいい顔してて好きだ。フフン。 マップ攻略中のヒントや、インタミでの世界観解説、登場人物紹介コーナーなどは削除されたようだが 特に理解が不足するような場面はなかった。 また、旧作は同じマップに何度も挑戦して早解きチャレンジをしたり おまけダンジョンを攻略するという要素もあったようだが、 これらもなくなっている。 その分、武器のやりくりや経験値の割り振りなど 「エムブレム的な計画的プレイ」を考えて楽しむ事が出来るようになっている。 旧作は戦闘でそこそこ独自のバランスを採用していて ぱっと見とっつきづらい点もあったが、 FEに準拠した為、エムブレマーにはむしろわかりやすくなった。 また、エムブレムをやるために必要なキャラが追加されており、 いわゆるアーマーナイトや赤緑騎兵などが初期キャラとして加わっている。 ただし扱いは「参戦時以外まともに台詞が無い」いわゆるモブ。 そんな奴らでも顔・ステ・成長率で個性が出るのがエムブレムのいいところ。 ボリュームは1章10話+2章10話で20話もある。 FESRC基準、かつ2014年までの公開シナリオとしては、この量は破格。 全キャラ上級職にクラスチェンジ可能なくらい育てられる。 なお、FESRCは結構動作が不安定なところがあり、 バグってアイテム交換できなくなったり、再移動が出来なかったりする事がある。 FEらしくはないが、毎ターンまめにQSしておこう。 あと、製作者も書いているが「攻撃ミスの時は、武器の耐久度が減らない」というFESRCの仕様上、 長距離攻撃(原作で言うロングアーチやメティオ)を弾切れさせるのが少々手間になっている。 アーチはアーマーで受ければいいが、魔法防御高い奴って大抵回避キャラなんだよなー。 //ゲーム面 難易度はかなり骨太。と言うかキツイ。 武器性能が「命中率が悪い」「やたらと重い」トラキア776基準なのもあり、 命中・回避がとにかく安定しない。命中8割・回避5割がいいとこ、という場面も多い。 なのに、マップ開幕で敵が6〜9体くらい殺到して殺しに来る場面もザラ。 これが騎兵だったりすると、攻撃後再移動(ヒット&アウェイ)で延々と集中攻撃を食らうはめになり お前らどこのクロスナイツだ、という気になる。 もちろんそんなのアーマーナイトじゃないと受け切れないので、アーマーは全般的に大活躍する。マップ狭いし。 ユニットが破壊されても死なない、いわゆるカジュアル仕様なので、 事故って少しやられるのは普通くらいのバランスである。 封印や烈火ならハードモードで楽しんだ人、トラキアが面白くて何度も遊んじゃう人などなら 支障なくプレイ出来るだろうか。 特効武器は躊躇なく使う、敵の移動力チェックしてギリギリで待つ、1体ずつ釣り出す、再移動で逃げる、 敵の力と武器威力からちゃんとダメージ計算する……等の基本テクは常に大事。 後、必要な時は「武器を外す」で無装備になることとかも抑えておきたい。 成長率は概ね良く、よくヘタレる騎兵コンビでも封印のノア殿よりマシ、 よく伸びるキャラは聖魔以上、もしくは聖戦の子世代かよってくらい伸びるので、 ユニットが育ってくれば戦力的にはかなりマシになってくる。 //シナリオ面 シナリオ面は……正直微妙。 1章はリメイクで6>10話に水増しされたせいもあって、 「命令を受けてどこそこの砦を攻略する。攻略した。終わり」のようなシナリオが多く、 ストーリー的に大きな動きがあるのが冒頭と終盤だけ。 高難易度に耐えながら1章9話までモチベーションを維持するのがまず最初の試練となるだろう。 正直だるかった。 2章はストーリーが「悪政からの解放」を中心とした割と一般的エムブレムになり、 キャラの会話なども増えてくるのでドラマ性は上がる。 ただ、主役二人が劇中でも「何を考えているか判らない」と表現されているように 悪巧みばっかりしているので、プレイヤーに視点を提供する役割を果たしているとは言いがたく、 感情移入が極めて難しい。 2章中心キャラのお兄さんも、主役夫婦に良いように利用されている感がそこかしこから漂い、 感情移入出来ると言うよりは、哀れで可哀想に見えてくる。 章の間で10年時代が動く戦記、世代ものということもあり、 登場人物が章の間で大きく入れ替わるのも特徴で、 しかもタチの悪いことにシナリオの扱いが大きい方からいなくなるので、 脇役やモブを好きになれる人でないと、 中々好きなキャラがおらず楽しくない、という事態にもなりがちである。 トラキアだとロナンとか山荘新人を愛用してる人とかなら大丈夫だ、きっと。 最大の問題は、 最新話の2章10話は物語の節目ではあるがまだ完結していないこと。 現状はだいたい聖戦の5章が終わった所で、 次の3章は15年後?の子供世代という状態である。 ただ、一応9話の時点で物語的にはクライマックスであり、 10話はボーナスステージ的なものと考えると、尻切れトンボと言うほど印象は悪くない。 あれだ。だれでも一度くらい親世代のアルヴィス戦はやってみたかっただろう。それだ。 元のシナリオだと、2章から3章に戦闘キャラとして引き継がれるのは数人程度っぽいのだが、 本作ではどうなるか不安半分、ワクワク半分といったところである。 //全体的に 作者も書いている通り、あっさり味のシナリオということで、 物語や文章を楽しみたい人にはあまりオススメ出来る内容ではないが、 FE的なキャラの育成、骨太なFE戦闘を存分に楽しみたいという人であれば、 オススメ出来るという割と極端なシナリオ。 と言うか筆者はうっかり勢い再プレイに突入してしまい、レビューが大幅に遅延した。 1回目は苦痛だった1章がこんなに楽しくスイスイと! 2回目のプレイではまた違った攻略法が見つかったりすることもあり、 ゲーム面はかなり奥深い。 武器のやりくりが結構大変なバランスなので、 一回通してクリアしておくと計画が立てられて大変はかどるぞ。