続・九條信之介伝 ×××(サブタイトル未定) 6話くらいで想定 ■物語 斐渡峠の戦いから数か月後、 九鬼衆追討の旅を続ける『九條信之介』は、九鬼流槍術の使い手『九鬼琢磨』に追われる少女を助けた。 少女『七瀬小春』が申すには、『瑠璃小路家の従者であり、瑠璃小路家を狙う九鬼衆を打倒し得る者を捜している』と。 かつては家同士での親交があった瑠璃小路家の窮地に、信之介は小春に協力を申し出、小春はそれを快諾する。 小春の先導で『瑠璃小路家の城下町』と評される『夕樹町』に辿り着いた信之介。 招待された屋敷で幼馴染で元許婚の『瑠璃小路沙羅』と再会し思い出話に花を咲かせる。 沙羅の口より ・沙羅の両親が既に病死している事 ・瑠璃小路家は沙羅の祖母『瑠璃小路摩耶』が取り仕切っている事 ・しかし今では娘夫婦と同じ病に倒れ、療養中である事 の三点を伝えられる信之介。 病床の摩耶の許に招待された信之介であったが、彼女は覚束ない世間話を話すばかりで全く会話が成り立たない。 信之介が仕方なく退席しようとした時、「私の人生は失望と幻滅の繰り返し、信君はそうならない様に気を付けてね」と話し寝入ってしまった。 摩耶の言葉に一抹の不安を覚える信之介と、彼に同行し街の案内をする小春の前に、『この街を去れ』と告げる謎の青年『篠宮京司郎』が現れる。 仔細を伝える事なく、一方的に話を打ち切り去る京司郎に困惑する信之介。 それから、瑠璃小路家の情報を元に順調に九鬼衆を打倒し、時には京司郎と共闘していく信之介。 しかし、信之介は提供される情報にある種の疑念を感じる。 ・提供された情報の場所に必ず九鬼衆が現れる  更に、遭遇した九鬼衆は瑠璃小路関係者を殺した後である ・情報は全て沙羅を通すか、沙羅の使いの者が寄越す  名目上は現当主である摩耶の使いの者が寄越した事は無い ・殺された者は皆、摩耶と懇意にしているグループ有力者等であること  沙羅の派閥が摩耶と別にあるとした場合、沙羅派閥は無傷である ・殺された者の後釜の中に、沙羅と繋がりがある者がいた 沙羅に問い詰めるも逆に、自分達が子供の頃の昔話で絆されかけて言い包められ、小春は知らないと言い切るばかり 信之介は仕方なく、無駄足は承知で摩耶に相談を持ち掛ける。 しかし摩耶もまた、昔話を話すばかりだった――ただ、沙羅とは大きく食い違う昔話であったが。 曰く「燕の巣に石を投げて遊ぶ子だったのに、娘達は甘やかすばかりだったから、信君が叱ってくれた時は嬉しかった」 曰く「拾ってきた子猫を苛めて楽しむ子だった、綺麗な花壇を荒らして花冠を作る子だった」 曰く「真っ直ぐに育ってくれた信君が羨ましい」 と 摩耶の昔話に混乱しながら、されど沙羅に真相を聞く気にもなれず与えられた宿に帰った信之介は、摩耶が急逝したという知らせを受ける。 急遽、瑠璃小路の屋敷へ向かう信之介の前に京司郎が現れ最後通牒とも取れる忠告をする。 「これ以上、この街に居座り続ければ命は無い。あの毒婦の手が届かない場所へ逃げろ」 摩耶の葬儀は、沙羅によって大々的に執り行われ、瑠璃小路一族が一斉に会する場となった。 其処に現れた九鬼衆と戦う信之介と京司郎、そして小春。 戦いの最中、会場から悲鳴が上がる。 会場へ駆け付けた信之介が見た物は、瑠璃小路一族の夥しい数の死体だった。 かつての惨劇を思い出し、怒りに燃える信之介の前に沙羅が現れる――九鬼琢磨達を連れて。 全ては沙羅の陰謀だった。 沙羅は瑠璃小路家の全てを手に入れるべく、摩耶とのパイプを持つグループ有力者を排除し、幼い子供を含む自分以外の一族郎党を皆殺しにしたのであった。 全てを明かし、その上で信之介への一方的な憎悪を解き放つ沙羅と配下の九鬼衆の前に苦戦する信之介達。 勝利を目前としたところで、裏八妖の技を解放した沙羅の猛攻を前に京司郎は倒れ、信之介は右目を潰される。 勝機を失いながらも戦意を失わない信之介だったが、更に小春の裏切りにより沙羅の奥義を受け左腕を破壊され、その上で見逃される。 「惨めな命、手折らずとも消え逝く宿命よ」 その後、京司郎の手引きにより闇医者に匿われた信之介。 京司郎は『自分は瑠璃小路摩耶の使いであり、信之介を守る為に遣わされた』と自分の正体を明かす。 ・沙羅の本性を知るが故に摩耶は老いてなお当主の座を譲らなかった事 ・自分の死すら利用し得る沙羅に対して生き続ける事で抵抗していた事 ・おそらく沙羅は数日後にグループ代表に就任する事 ・沙羅は独自ルートで反幕テロリストに武器を流している疑いがある事 などを京司郎より伝えられる。 真実を知り沙羅を止めるべく奮起する信之介だったが、 修行の中で潰れた右目、使い物にならない左腕という現実を前に絶望する。 しかし傷だらけで今にも死にそうな子猫を助けようとした際、助けの手に噛付き、自らの意思で死を選んだ子猫を前に生命の尊厳の様な覚束ない何かを見る。 「傷付いた子猫ですら、命ある限り抵抗を続ける――ならば己はどうだ?」 子猫と違いまだ命は有る、左腕以外は動く、左目が見える、まだ戦える、と。 其処に現れた琢磨達、九鬼衆を前に、信之介は新たな奥義を編み出し一蹴する。 仕込みをしていた京司郎と合流した信之介は、公儀隠密・『一条太郎助』と連絡を取った上で沙羅のグループ代表就任会見場へ乗り込む。 場を使い、信之介を犯罪者と糾弾する沙羅だったが京司郎の仕込みにより真実が露呈、更に幕府の者達が現れ沙羅は逃亡。 太郎助と合流した信之介達は、とある倉庫街にて沙羅達と決闘し勝利する。 後日、倉庫の地下より密輸品と思われる銃火器類が発見され瑠璃小路家は改易、グループは解体となった。 全てが終わり、取り壊される屋敷を前に、信之介は「何時かは、優しい思い出に別れを告げなくてはならないのか」と独り言ちた。 ◇ネタなど 夕樹町:無憂樹(釈迦が生まれた場所に生えていた木)から無を取り、憂樹→夕樹 ネーミング法則 1:一条太郎助 4:篠宮京司郎 7:七瀬小春 9:九條信之介、九鬼琢磨